鍵泥棒のメソッド 感想 レビュー 香川照之 演技
映画「鍵泥棒のメソッド」
しっかりとした演技と脚本のコメディ映画
採点:80点
【映画info】
公開:2012年
監督:内田けんじ
脚本:内田けんじ
時間:128分
主演:堺雅人(桜井武史)
【あらすじ】
俳優を目指しているニートの桜井武史(堺雅人)はなけなしのお金を持って銭湯へ行った。そこへ殺人犯を匂わせるコンドウ(香川照之)も銭湯へ行く。運悪く石鹸ですべって頭を打ち気絶するコンドウ。コンドウの横に落ちている銭湯のロッカーのカギを、自分の鍵と入れ替える桜井。気絶から戻ったコンドウは記憶を失っており、自分を表すものはロッカーの中身、、つまり桜井であった。そこから無意識に桜井の生活を歩むコンドウ、意識的にコンドウの生活を歩む桜井。そんなコンドウ(見た目は桜井)に雑誌編集長の水嶋香苗(広末涼子)が出会う。水嶋は寿命わずかな父を安心させようと即結婚する男性を求めており、コンドウ(見た目は桜井)に興味を持つ。コンドウの怪しげな仕事に3人が巻き込まれていきながら、入れ替わった2人はどうなっていくのか。
【感想】
・新鮮な入れ替わり
・香川照之の演技
・生きるのが上手い人
ダメ人間な桜井武史(堺雅人)、マメできっちりとした性格のコンドウ(香川照之)、マメで真面目な水嶋香苗(広末涼子)とキャラ設定がはっきりしていてそれぞれのキャラクターの話がテンポ良く展開されていて観ていてグダらない。
入れ替わりというと、ベターなのはお互いの体が入れ替わったなどの設定がよくあるが本作では片方が記憶を失い、もう片方が意識的に相手に成り代わり記憶を失った方が無意識に他人に成り代わるという設定で新鮮でリアリティのある入れ替わりなところが嘘臭くなくて観易さの1つになっている。
ダメ人間の桜井に入れ替わったコンドウは、典型的な仕事人間で完璧主義者。
桜井であったら、高嶺の花である水嶋には目もあてられなかっただろうがコンドウであったからダメな桜井というマイナスがあっても言動を大きなプラスにして仕事の俳優業も好転し、水嶋にも興味を持たれたのだと思う。
これは、作中でもコンドウが言っていたが桜井が甘えているだけ(買った本は数ページ読んで終わり)で、真面目に正しく取り組めば仕事も生活も恋愛も好転出来ることをコンドウが桜井に入れ替わって体現して伝えてくれている事である。
※以下からはネタバレを含むので映画を観てから読むことをおすすめします
そして記憶が戻ってコンドウが桜井に言った名言
「お前の人生俺がもらうぞ」
コンドウは殺し屋ではなく、便利屋だった。
殺しを依頼されたらターゲットに話をもちかけ殺した事にして逃がすことで依頼者からもターゲットからもお金を得ていた。
大金を持っていたコンドウがなぜそれを捨ててまで、自殺まで考えていた桜井のダメな人生をもらおうとしたのか。
それはお金はいつでも手に入れれる、仕事もいつでも手に入れれる、ただ水嶋という女性だけは桜井という人で手に入りそうであり、かけがえのない存在であったからだと思う。
桜井のように普段気にしている事はちっぽけなことで、それはコンドウがそうできたように努力で解決ができること。ほかに努力で解決できないかけがいのない物があることを思い知らせてくれる映画。
記憶を失い、ダメ人間の桜井の人生を必死に歩もうとするコンドウ。
記憶が戻って殺し屋かのような人格なコンドウ。
それらを見事に演じれる香川照之はやはり役者として天才だと思いました。
以上、ノーランの映画感想でした
最後まで読んで下さりありがとうございました!!