映画『39 刑法第三十九条』あらすじと感想 メッセージ性

 映画「39 刑法第三十九条

採点:80点

邦画の中では演者の演技、ストーリー性、メッセージ性、カメラワークどれをとってもトップクラスの映画

 

【目次】

 

【映画info】

公開:1999年

原作:永井泰宇(Wikipedia)

監督:森田芳光(Wikipedia)

時間:133分

主演:堤真一(Wikipedia)

キャスト:鈴木京香/岸部一徳/江守徹/樹木希林/勝村政信/笹野高史

 

【あらすじ】

ある夫婦(妻は妊婦)が殺害され犯人として逮捕された主人公の柴田真樹(堤真一)。弁護士(樹木希林)は初めての面会で柴田真樹(堤真一)の豹変した態度を見て精神鑑定を裁判所に提案する。その後ストーリーは、多重人格を疑われている柴田真樹(堤真一)、精神鑑定士の小川香深(鈴木京香)を中心に、加害者や被害者の家族を含めた各登場人物の過去などを元に殺人の動機や柴田真樹(堤真一)の多重人格が解明されていくというストーリー

 

【感想】

・キャストの演技

・邦画の中ではトップクラスの完成度

・法律への問題提起メッセージ性

 

観た後の満足感、見てる最中ののめり込み感は邦画の中ではトップクラスに良い映画です。

 

キャストの演技では堤真一平穏な人格狂気の人格の演技に惹かれます

次に刑事役の岸部一徳は独特の癖のある演技が良いです。相手を見透かした様な目線と口調、ねっとりした演技がたまらないです。

後はお堅くない凄みのある検事を演じた江守徹も良かったです。

 

良い点として先ずは

謎が多くグダることなく最後まで観れるストーリ性です

殺人の動機や柴田真樹(堤真一)の多重人格の真偽など、謎があることでストーリーに引き込まれます。

また、カメラワークが前衛的です(1999年にしては)

登場人物の離れる姿のシーンが他の映画に比べて5秒ほどいことで、各登場人物の余韻がより多く感じ取れます

幼少期の人物と重ねて成人の人物を写すことで、同一人物であることを匂わしたり、シーンの始まり、終わりのカメラの位置や角度が前衛的です

 

最後にこの映画の肝となるメッセージ性についてです

※ここからはかなりネタバレを含むので映画を観てから読むことを推奨します

 

 

 

工藤啓の妹が幼い時に15歳の少年に惨殺され、第一発見者となりその光景、想いが脳裡に焼き付く。

時は流れ、元15歳の少年の畑田と妻(妊婦)が惨殺される。

その犯人として逮捕されたのが柴田真樹(堤真一)

一見柴田真樹(堤真一)は前述の幼女惨殺事件とは無関係のように思えたが、実は柴田真樹(堤真一)工藤啓介であった

 

工藤啓は、戸籍上生存しているが実際には消息を絶っている柴田真樹に目を付けて成り代わった。目的は心神喪失者(多重人格者)を装い妹を惨殺した男を(心神喪失者として)殺すため

そのために工藤啓は(仮説を含む)、

・血液判定で身元がバレないように柴田真樹の父親が無くなるまでは畑田を殺害しなかった

・戸籍上身分を持ちたい者工藤啓介の身分を与えた

・多重人格者と診断される為に、役者を学び何度も精神鑑定のシミュレーションをした

 

映画内でも工藤啓介(堤真一)が言っているが、殺害の他に法の裁きに対して刑法第39条心神喪失者を責任無能力として処罰せず、また、心神耗弱者を限定責任能力としてその減軽する」への問題提起をメッセージ性としてもっている。

 

「それでも僕はやっていない」のように裁判(法)への問題提起となる映画となっており、見終わった後にも考えさせられる良いメッセージ性を持っています

 

以上、ノーランの映画感想でした

最後まで読んで下さりありがとうございました!!