はじまりへの旅 感想 アラゴルン 教育 哲学
映画「はじまりへの旅」
哲学要素あり、教育要素あり、社会派な映画なのに家庭的でもある映画でした
【目次】
【映画info】
公開:2016年
原題:Captain Fantastic
原作:脚本 マット・ロス
監督:マット・ロス(マット・ロス - Wikipedia)
時間:118分
主演:ベンキャッシュ役 ヴィゴ・モーテンセン(ヴィゴ・モーテンセン - Wikipedia)
監督は主に俳優として活躍しており1997年~2016年までに4作しか監督・脚本をしていないです。
wikipediaによると「この映画のアイディアは、監督のマット・ロスが、妻と自分が下す親としての決断に疑問を抱いたところから始まったという。そこから、現代のテクノロジー社会では困難であるとしながらも、自分の子どもの人生に〝常に存在〟することができたとしたら、と彼は考えた。」とあります。
主演はロードオブザリングのアラゴルン役のヴィゴ・モーテンセンです!
【あらすじと感想】
森で暮らすベンキャッシュと子供6人。ベンの家庭は現代の文明や社会を否定しており、自給自足で過ごしている。ある時、妻のレスリーは精神的な病を治すために街の病院に入院するも自殺。残された家族はレスリーの葬式に出るため街に降りる。そこで色々あり家族の関係にヒビが...教育とは、社会とは、人間とはを考えさせられる映画です
夫ベンと妻レスリーの考えのもと、子供たちを社会から離して
鹿を借り野菜を育てて自給自足をし、体力的なトレーニングもアスリート並に行い、たくさんの本を読み自分の意見での感想を持つように教育をしています
よく、自分の意見を持つことは大切だ、ベンの教育はそれを徹底しています
子供が本の感想に「興味深い」というと、それはNGワードだ詳細な感想を言いなさいと、曖昧な感想ではなく自分の言葉で相手にはっきりと伝えれるように教育します
また、7歳の末っ子のナイ(女の子)の性への質問にも包み隠さず、子供向けの言葉も使わず説明するシーンでもベンが子供に対して子供扱いする既成概念など持っていない事が伝わります(男、女、ペニス、ヴァギナ、膣という言葉を用いて説明)。コカインについても同様。子供たちの何故?何?に直球で明解に答えます。
序盤はベンの教育の成果が光ります。
妻の兄弟の家庭に泊まった際に、夫婦に「子供を学校へ行かせなさい」と言われたベンは「権利章典とは」の質問を夫婦の15歳前後の子供と自分の娘8歳にしますが、曖昧なイメージでしかその単語を知らない夫婦の子供に対してベンの娘は単語の説明は知っているのは当然として権利章典に対して自分の言葉で自分の意見を言います
知識の差、自分の考えを持っているかの差が学校に行っている子供と森で本と両親の教育で学んだ子供で圧倒的な差が生まれています
また、子供に不満があるときには子供に意見を話させてその意見が正しいと思えば自分の考えを変えるという、人の意見を聞く教育もしています
ここまで観るとベンの教育が正しく、社会に属して学校に通う教育が間違っていると感じますが
中盤からその教育のひずみが出てきます
長男ボウドヴァンが同世代の女性とキスをして良い雰囲気になった後
求婚します
女性や異性との付き合い方が分からないのはネックですね~
社会から恩恵受けず、ルールに従わないスタイルであれば万引きも許されるという考え方なのかもしれませんが、完全に社会と切り離せれていない(妻が入院、手作りの木製の飾りをお店に売って現金入手などなど)以上、法律違反は限度が越えています
最後に街にいる中で子供の身に危険が生じ、ベンは
「俺といると人生がだめになる」と子供達に言い、妻の両親家族に子供を預けようとします。
ここで、映画としての批評ですが
何年間も社会から離れて子供を教育してきて、その教育方針を徹底して、自らの深い考えを持っていたはずなのに
たった数日街に降りて、子供にアクシデントが起こり妻の両親から口撃を受けたら、「俺といると人生がだめになる」とまで考え方が変わってしまうのはリアリティが無いですね。確かに、"妻の死が森で生活していたことだと気づいていた"と前々から生活に疑念は持っていたみたいですが、映画内での気持ちの変化の描写が少なすぎてベンの思想はそんな軽かったの?と思ってしまいました
結局、社会に溶け込むことになるのですが
終盤以降は少しストーリに物足りなさを感じました
【おすすめ度】
70点
フリーダムな映画が好きな人や
人生の生き方(今作は教育の仕方)は多様だ!!というテーマの映画を観たい方には
とてもおすすめの映画です。
以上、ノーランの映画感想でした
最後まで読んで下さりありがとうございました!!